読書記録『マンガでわかる「オペラ」の見かた』
お気に入り 4/5
「オペラってなんか文化的?イメージ。敷居が高い。劇の内容は外国語で歌ってるから何言ってるかわかんない。あとだいたい主役は死ぬ」
そう思っている貴方、私と同じです。同胞よ😇
<私のあらまし>
こんな知識も何も無い私ですが、唯一知っていたフレーズが「三大テノール」!!
世界的に有名な神がかった美声を持つテノール歌手3名が、3人で活動する際に用いていたフレーズなんですね。
実は去年三大テノールの映画を恵比寿に見に行ったんです。そこで聴いた数々の情熱的な歌詞に、私の厨二心が刺激されたのが関心を持った所以です。
<ざっくり感想>
オペラに関する知識がこれ1冊でざっくりつきます。(これ2回目)
オペラの歴史、「オペラ」の種類、男性・女性の声の種類と声の種類別に与えられる役が違うことなどなど…
何よりも驚いたのは、オペラって全部歌うんです!
私はミュージカルと同じだと勘違いしていたのですが、大間違い。全てに楽譜がついて、全セリフが歌声。カラオケ3時間でも喉が枯れるのに、1回8時間近いオペラなんて声帯が死にそうです…。
他にも意外だったのは、本国の人にとってもオペラは敷居が高そうだと言うこと。
99%のオペラは100年前に作られたものだそうです。それに加えて、台詞は全て歌。本国の人でも聴き取りにくいそうです。なので、先にシナリオを予習していくのだとか。
つまりは、日本で言う歌舞伎に近いのでは…?!
昔の江戸訛りなので何を言っているか、殆どの日本人はわからないと思うんですよね。しかも白塗りメイクで服装も当時のもの。過去、予習0で友人について行った私には何がどうなってどうなっていっているのかわかりませんでした…。
そう考えれば、オペラを観劇しに行くハードルも何となく低くなる。
この本の良い所は、それに加えて有名な劇のシナリオが50本、漫画でわかりやすくまとめられている所です。個人的に気になったシナリオは以下の通りです。
・ランメルモールのルチア: 白いウェディングドレスを血塗れにした美女が狂いながら歌うという…中二シーンが…!
・愛の妙薬:面白ハッピーエンド系。美女を落としたいがために詐欺師から惚れ薬を買う男のドタバタ劇。詐欺師が薬の効用をまくしたてるシーンの歌を聴いてみたい!
・魔笛:モーツァルトの傑作だそう。あと面白脇役がいるんですが、そいつがもうなんか色々しくったけど美女を射止めた時に、その娘と「パパパパ」って歌うそうなんです。意味わからん。見たい。
・道化師:道化師の男が妻(女優)に浮気されて、演劇中にも関わらず、道化を演じ切れずに逆上して刺し殺す話。「これにて喜劇は終わりです」と血塗れの!道化師が!言うそうなんです!!!
案外喜劇もありました。漫画を読んでると是非とも観劇したくなってしまいます。
あと、やっぱりだいたいの主役は死にました😇
*********以下個人的まとめ*******
<オペラとは>
オペラ: 総合舞台芸術(音楽、演劇、文学、美術)by ワーグナー
・99%が過去の作品(参入障壁が高い):イタリア・ドイツ
・母国語でも聞にくい(100年以上前の作品)⇒予習必須
<歌の種類>
叙唱→アリア(独唱)、重唱(複数歌手)、合唱(合唱団)
<オペラの歴史>
16世紀末 ルネサンス末期 イタリア宮廷発
・古代ギリシャ神話、英雄伝説がメイン…ギリシャ悲劇復興の試み
・現存最古のオペラ「エウリディーチェ」:1600年 メディチ家の娘とアンリ四世の結婚式で初演→評判に
・宮廷に招かれたイタリア人作曲家がヨーロッパ中に広める
・以降、権力誇示の道具として各国で上演された
17世紀〜18世紀前半(バロック)
・1637 年 公衆オペラ劇場:宮廷の独占状態から、庶民の楽しみに
・去勢歌手 カストラート
・イタリア 音楽と歌の美しさを重視
・フランス 言語的美しさを重視し、イタリアオペラを拒絶→フランス語・バレエを取り入れる(グランドオペラ(19世紀))
18世紀
・ヘンデル(ドイツ宮廷) オーケストラを駆使 ※イタリアオペラ継承
・モーツァルト(ウィーン宮廷)オペラの頂点を築く
19世紀黄金時代: 裕福な市民層に支えられ社交的な娯楽に
・フランス革命を背景に、オペラは各国のナショナリズムとともに独自のものとして発展していく
・イタリア:歌中心
・ドイツオーストリア:各楽器の表現力が高まり、オーケストラへ
・フランス:グランドオペラ
・アメリカ:ミュージカル
20世紀: 芸術作品に(市民の手を離れ、芸術としての死とも言われた)
<オペラの種類>
おぺらせりあ、おぺらぶっふぁ、ヴェリズモ・オペラ、グランドオペラ、オペラ・コミック、ジングシュピール、オペレッタ、楽劇
<オペラ本国独伊の違い>
・オペラの評価、客層はイタリアとドイツで異なる
・イタリア 優美さ 中年女性 ブーイングが多い 演奏を重視
・ドイツ 理論 考えられた演劇 中年男性
マンガでわかる「オペラ」の見かた: “あらすじ”がわかればもっと観劇が愉しくなる!
- 作者: 小畑恒夫
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2018/04/11
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る